東野圭吾さんを偲んで–『マスカレード・ホテル』連載挿絵の思い出

先日、作家の東野圭吾さんの訃報を知り、とても驚きました。

人気作家であり、まだお若く、これからもさらに活躍されていくのだろうと思っていただけに、突然の知らせに今も言葉を失っています。

これまでイラストレーターとして、多くの作家の方々の作品で挿絵を担当させていただきました。

『マスカレード・ホテル』第21回扉絵
『マスカレード・ホテル』第21回扉絵(小説すばる)

その中でも、『マスカレード・ホテル』の連載時に強く印象に残っているのは、その回の挿絵を描き終えるたびに「早く次回の原稿が読みたい!」と、いつも感じていたことです。

最初にお話をいただいたのは、東野さんの担当編集者であるIさんからでした。

「ホテルを舞台にしたミステリー小説で、タイトルは『マスカレード・ホテル』といいます。その連載の挿絵を服部さんにお願いできないでしょうか。」

連載第1回の挿絵。実は、連載時と単行本では、オープニングの構成が変わっています。
連載第1回の挿絵。実は、連載時と単行本では、オープニングの構成が変わっています。

連載第1回の原稿をファックスでいただき、拝読したところ、ホテルの内部が物語の主な舞台になることが分かりました。

しかし、ホテルの内部を描くにあたっては、とにかく手持ちの資料がありませんでした。

このあとも、ホテルを舞台に物語が進んでいくことは事前におおよそ聞いていたので、ホテル内部の資料写真がどうしても必要になります。

そこで、私からIさんにお願いしました。

「物語に登場するホテルのモデルはどのホテルなのか、東野さんに聞いていただけませんか?」

「それと、できれば挿絵を描く際の資料として、そのホテルの中を撮影させていただきたいのですが・・」

後日、モデルとなったホテル側のご協力のもと、Iさんにも立ち会ってもらいながら資料写真の撮影を無事に終えることができました。

『マスカレード・ホテル』第18回扉絵
『マスカレード・ホテル』第18回扉絵(小説すばる)

それから、連載は2年ほど続きました。

『マスカレード・ホテル』は後に映画化され、大ヒットしました。今さら私が解説するまでもありませんが、本当にエンターテインメント性にあふれた作品でした。

原稿をいただくのは月に1度。話の続きが読みたくて、次の原稿が届く日を心待ちにしていたことを思い出します。

今はただ残念でなりません。

東野圭吾さんのご冥福を、心よりお祈りいたします

『マスカレード・ホテル』挿絵→こちらから

『マスカレード・ホテル』第20回扉絵
『マスカレード・ホテル』第20回扉絵(小説すばる)

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